特定非営利活動法人ツバルオーバービュー

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化石燃料に頼らず世界を人力だけで旅しているKarlis Krustojums(カルリス・クルストジュムス)さん(ラトビア出身)が、南太平洋単独横断中にツバルにいらっしゃったので、お話を聞きました。

Q:ほぼ1ヶ月かけて、フレンチポリネシア、マルケサス諸島のヒバオア島からツバルに来られましたが、久しぶりの陸地、ツバル滞在の感想をお聞かせください。

僕は、ほぼVeganなんだ。だからツバルでの食生活は結構厳しいね。みんなお肉を食べるし、果物も野菜も輸入品ばかりだし。バナナやマンゴーがたくさんあるかと思うとそういうものもあまり出回っていないし、正直びっくりした。

今、知り合った警察官の家にお世話になっているんだけど、ぼくはクラッカーばかりを食べている。僕はお肉は食べないから食事は別々にしているんだ。でも、ツバルの人は本当に温かくて親切だし、また帰ってきたいと思うよ。たぶん10年後くらいになると思うけど。

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Q:最初お会いした時、とても痩せておられて、本当に一人で人力だけで旅されてきたんだと実感したのですが、そもそもなぜ人力だけで旅をしようと考えたのですか?

僕はもともとアルピニストだった、山を登って本当に自分が自然の中にいる瞬間が好きなんだ。嘘がなくて、エゴもない瞬間。とても心が洗われる気持ちになる。

山登りをする人もいろんな人がいる。氷の山を登る人、岩山を登る人、ヒマラヤなどの有名な山に挑戦する人。例えば、ヒマラヤに登る場合、だいたい6500mくらいが人間が適応できる高さの限界と言われているから、そこを越えると、環境に少しずつ自分の体を慣らしながら登っていくことになる。実際は、それができる人とできない人がいる。できる人は頂上まで登ることができるんだ。

でも最近は技術が発達して、簡易の酸素ボンベでより楽に体を山の環境に適応させることができる。でも、僕はそれはとても不公平(アンフェア)だと思う。だって、嘘ついている、ズルしていることになるから。

それから、I conquered the mountain. (俺はその山を征服した)っていう人がいるけど、そういう表現は本当に嫌い。だって、人間が山より優れているっていうか、上下があるみたいで聞くたびに吐き気がするぐらいうんざりするんだ。

山の次の冒険を考えたとき、嘘がないごまかしのない方法で旅をしてみたかった。だから人力で旅をすることを思いついたんだ。時差ボケって、実は体の移動の速さに魂の移動が着いてきていないから起こるって聞いたことある?体と魂が一緒に移動することが大事だと思う。

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Q:聞き手:ツバルに到着してからもラジオやトークショーを開いてこ自分の旅について話をされていますが、この旅を通じて人々にどんなことを伝えたいですか?

人力だけの世界旅。できるかどうか最初は疑っていた。でも今は信じている。できるとイメージして信じることが大事なんだ。それが実現につながっていく。なんでも人が不可能っていうとき、できると信じること。そして、それを嘘偽りなくやることが大切っていうのが、このチャレンジでみんなに伝えたいメッセージかな。

それから、僕は大学で経済学を学び、大学院で環境管理(Environmental Management)を学んだ。リサイクルを始め環境のことを色々考えたよ。海を綺麗にすること、温室効果ガスの排出削減。でも自分の中でそれらの事業についてなんか抵抗感があって。みんなとてもいい事業なんだけど、その抵抗感が拭えなかった。

この話知ってる?まだ小さい息子と父親の話。父は本を読んでいる横で息子が遊んでいた。そこに新聞があって、その中の1ページに大きな地球の写真があったんだ。父は息子にゲームをして遊んであげようと、その地球の写真を切り取り、小さなピースに切り分けた。息子はそれをパズルのように合わせてまた地球の写真に戻したんだ。そして、糊でひっつけた。裏を見ると、人間の写真があることに気づいた。

この話を読んで、僕はわかったんだ。「地球を一つすることは、人を一つにすること。人を一つにすることは、地球を一つにすること。」ってことに。人を一つにすることができれば、地球を救うことができるかも。世界を良くすることができるかもって考えた。

まず、怒りやネガティブな感情を減らすよう呼びかけることが大切だ。人々のフラストレーションが、地球にネガティブな影響を与えているから。ジェンダーの問題や子どもたちが直面している問題、環境問題もそう。そういった問題を減らすには怒りやネガティブな感情が起こらないようにする。そうすれば世界はもっと良くなると思うんだ。この旅を通じて、チャリティー活動をしているのはそういうことなんだ。

でも、僕はチャリティーのために旅をしているんじゃない。自分がとても楽しいしやりたいからやっている。人力で旅することが好きだからやっている。やりたいことをやるっていうのが大事なんだ。やりたいことをやる人が集まって、一緒に何かをすることができれば、良いエネルギーが生まれると思うんだ。

それから、なぜ挑戦するのかってよく聞かれる。一番最初の挑戦は、2013年にローラースケートで旅に出たことだった。やりたいからしているのだけど、人々はなんでやりたいのか理由をとても知りたがった。人々が理解できるような目標や理由がないと自分がやっていることを理解してもらえないということに気づいた。ギネス記録とか色々目標や日程の設定はできるけど、僕はいつも思っている。なんで、好きでやっているだけだとダメなの?って。もし、僕が将来自分の挑戦について本を書くならば、タイトルはきっと「Without any particular reason (特に理由はない)」だと思う(笑)

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Q:旅の途中で海洋プラスチックゴミの問題に何か気づいたこと考えたことはありますか?

最近この質問をよくされる。特に、太平洋横断中にプラスチックゴミの島を見たか?っていうやつ。俺の旅している地図見たら明白だと思うし、グーグルマップで調べたらすぐわかる。僕が旅しているところと、プラスチックゴミの島がどれだけ離れているかっていうこと。だいたいそういう人は、自分の町から20kmくらい離れたゴミ処理施設のことを気にかけずに、自分の町は綺麗でゴミなんてないみたいなことを言う。そんな人だから20kmも2500kmも同じなのかもしれないけど。見えないもの、気づかないものは気づかない。

でもゴミの問題は自然をどう扱うかと言うことと同じなんだと思う。昔、山を登るためにネパールに行ったんだ。とても美しい国だった。でも地元の人々はゴミを河に捨てるのを見て悲しかった。雨が降らなくなって河の水がなくなるとゴミの山が出現する。でも、モンスーンの季節になって大量雨で河が増水するとそのゴミは全て下流に流され人々の目の前から無くなるんだ。多分、昔はゴミが自然に戻る有機ゴミだから問題なかったんだろうけど、プラスチックや缶などパッケージゴミが出るようになった。でも人々の行動が変わらなかった結果こんなことが起こっているんだと思う。どう自然を扱うか考えないといけないよね。

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Q:この旅が日本にも続く予定があると聞きました。実は、日本では現在石炭火力発電を増設しようとする動きがあります。それについてどう思いますか?

ええ?そうなの?アメリカも確かClean Coal Powerを導入しようとしていると聞いたけど同じなの?僕の答えは、「僕は支持しません。」だね。それにそれって、女性の参政権を認めたない新しい法律を制定するようなものじゃない?時代を逆戻りしている。とにかく僕は支持しないよ。

 

Q:太平洋を一人、人力で旅をしていて学んだことやわかったことはありますか?

最近気付いたんだけど、自分がフラストレーションを感じている時間が短くなってきていると思う。例えば、人力ですごく頑張って船を漕いで50km前に進んでも、波や潮の流れで100km以上戻されることがある。そう言う時すごくフラストレーションを感じるんだけど、そのフラストレーションや不満がその状況を良くするのに役にたつか?と言うとそうじゃない。その時どんな姿勢を選ぶかによって状況が変わってくるんだ。そう考えるようになるともちろん人間だからフラストレーションは感じてしまうんだけど、その感じている時間がだんだん短くなっていることに気づいたよ。ダライ・ラマの有名な言葉に、「You want to spend your time in happiness.」って言うのがあるんだけど、本当にそうだよね。

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僕の旅はまだまだ続く。これからパプアニューギニアに行って、それからマレーシアに行く。その後一旦僕の故郷ラトビアに戻って資金を集めて、上海から日本に船で渡り瀬戸内海を通って東京オリンピックが開催される頃に東京に行けたらいいなと思っている。日本でも多くの人に僕の旅のことを知ってもらえる機会を作りたい。学校やトークショーなどを開きたいね。ドキュメンタリーの動画もぜひ多くの人に見てもらいたい。協力してくれる人を探しているので、もし興味がある人がいたらぜひ連絡ください。

5月25日、次の目的地に向かって出発しました。こんなおぼつかない感じで大洋に漕ぎ出していくなんて、、、すごい勇気だと思います。

https://www.facebook.com/kyoko.kawasaka/videos/10157287716431060/

次はPNGを目指すそうです。無事たどり着けることをお祈りしています。

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プロジェクトホームページ BORED OF BORDERS

コンタクト boredofborders@gmail.com

 

 

インタビュー:河尻 京子(ツバル・オーバービュー フナフチ事務所駐在員)
編集:遠藤 秀一(ツバル・オーバービュー代表)