特定非営利活動法人ツバルオーバービュー

現地事務所通信

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人間が生きていくには「水」が必要です。1500年ほど前に、サモア近辺からカヌーに乗ってツバルにたどり着いた人々がいました。今のツバル人の祖先に当たる人々です。川も湖もない珊瑚礁の島で、彼らはどのように生き延びたのでしょうか?

珊瑚でできた島の地下には、ウオーターレンズという雨水が貯まる層があります。地面から数mほどの深さの穴を掘ると、ウオーターレンズの層に到達します。ツバルの人々は、この地下水を活用してきました。今でも島内には井戸の跡を見ることができますし、ニウタオ島の集会場には、水を汲むための道具なども保存展示されてます。

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しかし、現在では井戸は使われていません。島民へのインタビューの結果では、1980年前後には地下水は利用できなくなったという声が多く聞かれます。海水が混入し飲めなくなってしまったと言うのです。石鹸の泡立ちも良くないので洗濯にも使えないという話もよく聞きます。その原因として地球温暖化による海面上昇があげられます。

人口が集中しているフナフチ環礁のフォンガファレ島では、塩水に重ねて排泄物の混入もあり、井戸は塞がれたままになっています。

地下水の塩害化が進み、雨水を生活用水にするように変わってきました。雨を集めるために、草葺きの屋根を鉄板の波板の屋根に吹き替え、樋をつけてタンクに貯め、その雨水を大切に使っています。

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1997年から1998年にかけて、史上最強と言われたエルニーニョが発生しました。その翌年にツバルは大規模な干魃に襲われ、日本政府は海水淡水化装置を緊急支援しました。エルニーニョと干魃は関連があり、エルニーニョ現象が終了した翌年の乾季には、ツバルでは干魃がおこります。2011年にも大規模な干魃が起こり、国家非常事態宣言を出し、各国に支援を呼びかけたこともありました。

2015年から現在に至るまで、エルニーニョ現象が続いています。近いうちにツバルへの大規模な旱魃の襲来が予想されています。現在、6000人が住んでいると言われている首都のフォンガファレ島の水対策は充分なのか調べてみました。

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ツバルの建設省に当たるPWDの敷地には、日本が無償支援した2台の海水淡水化装置が稼働しています。また、港の桟橋の上には2011年の干ばつの際にオーストラリアから支援されたソーラーパワー方式の海水淡水化装置がありますが、バッテリーがないため昼間しか稼働しません。同じくロシアからもソーラー式の装置が支援されましたが、設置後すぐに壊れてしまったようで動いていません。

この体制での造水量は150,000リットル/日となっています。各家庭には10,000リットルの水タンクが1〜2基ほど配置されています。その総数は2100基ほどとなっていて、すべてのタンクに水を給水するためには140日ほど必要な計算になり、あきらかに能力不足です。

フナフチ町役場の代表のSemi Vine氏は、海水淡水化装置は電力を使いすぎるので、エネルギー事情が悪いツバルでは不都合なことも多い、その点も勘案して、水タンクの増設に力を入れている。と話しています。家庭用だけではなく、公共の建物に付随する形での大型の水タンクの設置も進んではいるものの、水を運ぶ給水車がないため、給水車の支援を各国に打診しているということです。

青い海に取り囲まれたツバルは、水不足とは縁のないように見えますが、海水は飲めないので、砂漠の暮らしに近いともいえます。水不足で人が住めない!などということがないように、さらに備えを強化していく必要があります。

文:遠藤秀一(代表理事)取材:松浦克彦(現地駐在員)