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気候変動ニュース

2010年10月11日から10月15日まで、生物の多様性条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の第5回締約国会合(COPMOP5)と、10月18日から10月29日まで、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が、名古屋国際会議場で開催されました。

カルタヘナ議定書とは、遺伝子組み換え生物が、生物の多様性の保全や持続可能な利用に及ぼす悪影響を防止するための措置を定めています。160の国と地域が参加しています。(2010年10月現在)

生物多様性条約は、1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれ地球サミット(国連環境開発会議)に合わせ「気候変動に関する国際連合枠組条約」と一緒に採択されました。193の国と地域が参加しています。(2010年10月現在)

●「名古屋・クアラルンプール補足議定書」の採択

COPMOP5では、2004年の交渉開始以来、6年の歳月を経てようやく、「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」が採択されました。遺伝子組換え生物が、国境を越えて移動する際に、生物多様性の保全やその持続可能な利用に損害が生じた場合の責任と救済について、締約国が講ずるべき措置を定めています。

「バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済についての名古屋・クアラルンプール補足議定書」
http://bch.cbd.int/protocol/NKL_text.shtml (英語)

●「名古屋議定書」の採択

第10回締約国会議では、遺伝資源の利用から得られる利益の衡平な分配に関する名古屋議定書が採択されました。また、2011年以降の新戦略計画(愛知ターゲット)が決まりました。

議定書は、医薬品や化粧品の開発企業(主に先進国にある)が、アマゾンやアフリカなどの先住民たちが住む森に入り、遺伝資源をもち出す際のルールとその利用によって得た利益を分配するルールを決めたものです。

資源を持ち出す企業は、今回決まったルールのもと手続きを行い、原産国から事前に同意を得たうえで、どの生物や物質について利益のどの程度を配分するか契約を結ばなければなりません。利益には、お金だけではなく、技術や人材育成なども含まれます。

ターゲットは:
「2020年までに生態系が強靱で基礎的なサービスを提供できるよう、生物多様性の損失を止めるために、実効的かつ緊急の行動を起こす」(外務省訳)というもので、保護地域については陸域17%、海域10%など、20の個別目標が合意された。

「2050年までに、生態系サービスを維持し、健全な地球を維持し全ての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される。」(外務省訳)となりました。

ただし、NGOは、名古屋議定書については法律を守っているかどうかチェックする期間を置く場所については各国任せになっている点や名古屋ターゲットの数値は、科学者が勧告する数値の半分にすぎない点などをあげ、議定書ができたことは第一歩と評価できるが、内容は今後も強化する必要があるとしています。

<写真:©IISD>(執筆:川阪京子)

■参考文献:

WWFジャパン 生物多様性ABS問題について
http://www.wwf.or.jp/activities/2010/06/842329.html

外務省 カルタヘナ議定書第5回締約国会議(COPMOP5)の概要と評価
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/seibutsu_tayosei/cop-mop5_1010_gh.html

外務省 生物多様性条約第10回締約国会議の開催について(結果概要)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/seibutsu_tayosei/cop10_gk.html