1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

気候変動ニュース

2005年から国連の会議の場で、2013年以降の国際的な温暖化対策に関する交渉が始まり、中・長期の温暖化対策に取り組む必要性がでてきました。2009年9月民主党政権が誕生し、当時の鳩山首相が、国連総会で、日本は2020年までに1990年比で25%排出削減を目指すことを発表しました。

この目標を達成するための地球温暖化対策基本法案が作成され、現在国会で審議されています。法案の主な内容は、2020年までに1990年比で25%削減という中期目標と、それを達成するための手段として、これまでと同じ原子力発電の促進、クリーン石炭火力発電などの革新的な技術の開発の促進のほかに、2011年からの実施に向けた地球温暖化対策のための税の検討と税制全体のグリーン化、国内排出量取引制度の創設、再生可能エネルギーの全買い取り制度の創設と再生可能エネルギーの利用促進などが盛り込まれています。

NGOも、温暖化の原因となっている温室効果ガスを確実に減らしていくための新しいルール「気候保護法(仮称)」の必要性を訴え、MAKE the RULEキャンペーンを実施しています。

しかし、現在の法案では、これまでどおり原子力発電の推進が対策の主体で、25%削減という中期目標は、国連交渉の場で、2013年以降の枠組みについて国際的な合意があった場合のみ正式な目標とするという条件がついていること。そして、新しく導入されるという国内排出量取引制度も、排出量の上限を設けて取引をするというキャップアンドトレード方式ではなく、これまでの産業界の自主的な取り組みをベースとした自主参加型の取引や、排出総量の上限ではなく、エネルギー原単位の排出枠を設定するというような、削減効果が弱い方式の導入に向かっていることなどをあげ、基本法には問題があるとしています。

今月29日からメキシコのカンクンで開催される地球温暖化に関する国連会議(COP16)では、来年の南アフリカ会議(COP17)での2013年以降の国際的な枠組みの最終合意に向け、そのベースとなるカンクン合意の成立が目指されています。そのためにも、ここで、地球温暖化対策基本法案を成立させ、日本がきちっとこの問題に取り組んでいく姿勢を見せることが大切です。

(執筆:川阪京子)

参考文献:

環境省 地球温暖対策基本法案の閣議決定について
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=13017

MAKE the RULEキャンペーン
http://www.maketherule.jp/dr5/