1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

気候変動ニュース

enele sopoaga on Cop16

先日閉幕したカンクンでのCOP16/CMP6議場でのツバル政府のステートメント、日本語訳ができましたので掲載します。

尚、オリジナルの英文は
http://unfccc.int/files/meetings/cop_16/statements/application/pdf/101208_cop16_hls_tuvalu.pdf

スピーチのムービーは下記リンク内右側のメニューからH.E. Mr. Enele Sosene Sopoaga を選択すると見ることができます。
COP16オンデマンドウェブキャスト
http://webcast.cc2010.mx/webmedia_en.html?id=200

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環境・外務・労働大臣のエネレ・ソポアンガ副首相によるCOP16/CMP6閣僚級会合ツバルステイトメント

議長、大臣、皆様

ツバル国民と政府そして政府代表団を代表して、発言させていただきます。まず、メキシコ国民と政府に、暖かい歓迎とすばらしい会議の運営に感謝を申し上げます。カリブ海の暖かい海は、まるで母国ツバルにいるような気持ちにさせてくれます。

今すぐ、全ての国による世界全体での気候変動対策が必要とされています。世界全体、世界中の人々、そして、開発のパートナーを含む全てのステークホルダーが野心的なビジョンとコミットメントを共有し、解決のために熱心に取り組まなければなりません。経済、技術的な能力、そして、多くの国における人間開発における国際協力への大きな貢献を考慮し、ツバルは、中華民国(台湾)の気候変動枠組み条約プロセスへの参加を強く指示します。

議長

昨年、私たちは、国際社会が人類にとって深刻な脅威を及ぼす気候変動に取り組むための決定的な一歩を踏み出すであろうという高い期待をもってコペンハーゲン行きました。しかし、我々は、コペンハーゲンでの結果には非常に失望しました。110を超える国から集まった首脳たちが気候変動問題に取り組むために意味のある形で協力することができなかったことは悲劇です。コペンハーゲンでは、我々は、コペンハーゲン合意を拒否しました。我々は、これからも拒否し続けるでしょう。コペンハーゲン合意は、短期的な政治のニーズを満たすためにつくられた空虚な合意です。私たちのような国家を崩壊させるための書類でしかありません。

ツバルは、コペンハーゲンに意味ある結果を出すために一生懸命取り組みました。小さく、人数が限られた政府代表団ですが、ひとつの貢献として、我々の考える気候変動に対応するための新議定書(参考資料:京都議定書改正案)を提案しました。悲しいことに、その提案が議論のテーブルに載せてもらえることはありませんでした。

今年、我々は、国際社会はコペンハーゲンであったことを再び繰り返すことなないだろうと期待を新たにして、メキシコに来ました。我々は、強い団結のもと協力し、気候変動に取り組むための意味ある一歩を踏み出すことを決定しなければなりません。

ツバルは、京都議定書が継続していく明白な決定(マンデート)とバリ行動計画を実施する法的拘束力のある合意を形成するという新しい決定(マンデート)を求めます。2トラックのプロセスは、2つの法的拘束力のある合意という結果を出さなければなりません。国際社会は、気候変動に取り組んでいくための包括的なアプローチに合意することが不可欠です。

これは、京都議定書に新しい命を吹き込むことと、京都議定書のもと排出削減義務を負っていない国々のための新しい議定書を作ることによってのみ実行できます。

議長

ツバルが気候変動問題に対して、緊急で、決定的で、包括的な対策を訴えていることは、自分勝手なことではありません。疑う余地もなく、我々は、気候変動の影響に対してもっとも脆弱です。首都のある島、フナフチの最も幅の広いこところは600メートルです。最も高いところは、たった4メートルです。サイクロンが来ても、避難する山もなければ、内陸部もありません。あるのはココナッツの木だけです。我々は気候変動の痛ましいほどの被害に、極度にさらされています。

我々は、多くの国々が、自分たちが最も脆弱な国だと訴えているのを知っています。全ての国が気候変動の影響に脆弱であるということをはっきりと認識していますが、ツバルのような小さい島国、環礁の国は、国全体の未来が脅かされるという途方もない脅威に直面しています。これは、昨日、この議場でのUNFCCCの事務局長のステイトメントの中で、はっきりと述べられていました。このような悲劇的な訴えができる国が他にあるでしょうか?私はないと思います。

さらに、後発発展途上国である我々の国の全経済は、厳しい異常気象に脅かされています。しかし、そういった事象が起きた後、我々の経済を立て直す手段がありません。我々には、我々の将来を保証するために必要な資金アレンジメントを作りだす「異常気象による消失と損失に対応するための国際的なメカニズム(mechanism to address loss and damege)」が、必要不可欠です。

議長

我々は、正にこの場所で、すでに、コペンハーゲン合意のもと各国が発表した不十分な排出削減量と世界全体の平均気温上昇が1.5度を超えないために必要な排出削減量との差を埋めるための対策を示したUNEPによる排出削減量のギャップに関する最新の報告書について聞きました。我々ツバル代表団は、各締約国がこの報告書の指摘している点と提案をこの交渉で検討するよう強く訴えます。示された排出削減量の差は、今すぐ埋めなければ、我が国ツバルと我々のような国を消失させることになるでしょう。

一つの提案は、議長、京都議定書の下での土地利用、土地利用変化と森林(森林の吸収量)に関する抜け穴となる甘いルールを除外することです。更なる妥協はできません。我々は、この分野において、ホットエアという無料のギフトをあげ続けることはできません。我々の代表団は、抜け穴のルールを厳しくし、ホットエアを除外するために、辛抱強く交渉し続けています。我々は、他の国々も、気候変動のこの重要な問題について、無料ギフトを返上するよう、強く望みます。

議長

私は、ここで「緊急」の重要性を強調したいと思います。我々は、議論を行き詰まらせ続けることはできません。我々には、終わりのない会議をもち、何もしないための終わりのない理由を聞く時間とお金はありません。何よりも、我々には、とある大きな先進国の政治的な後退や、どの国が気候変動問題に対して責任があるのかを追及するために、交渉を人質に取られる時間とお金はないのです。今こそ行動しなければなりません。合意する時です。前進するときです。ツバルと世界を救う時です。

どうもありがとうございました。

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翻訳は当団体副代表理事 川阪京子が行いました。