COP17ツバル国ステイトメント
先日閉幕したダーバンでのCOP17/COP7の閣僚級会議で行われたツバル政府のステイトメントの日本語版を掲載します。
ツバルはダーバン会議をツバルが求める地球の平均気温を1.5℃未満に抑えるために必要な国際的な気候変動対策を決める最後の機会として期待していました。ダーバン会議では、辛うじて京都議定書の第2約束期間がつながり、2020年の実施に向けて全ての締約国が参加する新議定書採択のための作業計画「ダーバンプラットフォーム」が採択されました。しかし、それはツバルにとってとても厳しいものです。
このステートメントをご一読くだされば、いかにダーバンでの合意がツバルにとって厳しいものなのかがわかっていただけるものと思います。
オリジナルの英文はこちら:
スピーチのムービーは以下のアドレスから見ることができます。
COP17オンデマンドウェブキャスト
http://unfccc4.meta-fusion.com/kongresse/cop17_hls/templ/play.php?id_kongresssession=4516
――――
COP17/COP7閣僚級会合におけるツバル国ステイトメント
アピサイ・イエレミアツバル外務・貿易・観光・環境・労働大臣
ダーバン、南アフリカ
2011年12月7日
南アフリカ共和国大統領様
全ての国の首脳の皆様
国連事務総長様
COP17/COP7議長様
全ての国の大臣、政府代表団の皆様
政府代表団の皆様
会議に参加されている皆様
ツバル政府とツバル国民を代表してお話させていただくことを光栄に思います。ツバルをあまりご存じない方に説明させていただきますと、ツバルは南太平洋にある小さい島国です。ツバルは、疑いなく世界で最も気候変動の影響に悪影響を受ける国のひとつです。
まず、南アフリカ共和国とその国民の皆様に、このような重要な会議を開催くださるにあたり多大な努力をしてくださったことに感謝の意を表明させていただきます。特に、この会議をとても円滑に運営するためサポートをしてくださっている全てのボランティアの方に心から感謝いたします。たくさんの人たちが同じ緑の制服をきて、私たちに笑顔と暖かい言葉であいさつをしてくださるのを見るのは本当に気持ちがいいです。
小規模島しょ国、特にツバルのような四方を海に囲まれた国土の低い国は、いつも海が我々に繁栄と生活をもたらしてくれると考えてきました。もうすぐ、それはそうではないということになるでしょう。海は現在、我々に破壊をもたらし、我々の存在そのものを脅かしています。海面上昇は、我々の国全体を飲み込むため、我々の主権を消し去ってしまう可能性があります。
しかし、海面上昇は、我々だけの問題ではありません。この会議に出発する少し前、歴史的に見て過去最悪の深刻な干ばつに見舞われ、ツバル政府は非常時代宣言を発令しました。我々は、他国から飲み水を輸入し、緊急用の海水淡水化装置を輸送するという事態になりました。これは、気候変動の悪影響がすでに及んでいるという明らかな警告です。
今すぐ国際社会が気候変動問題に対し、迅速で決定的な対策をとることが絶対的に重要です。明日ではありません。2015年でもありません。2020年ということは絶対にあってはなりません。緊急性がこの会議のテーマでなければなりません。我々にはもう待つ時間はないのです。後戻りできない点のわずか数インチ手前に我々はいるのです。
私は、自国の政府の代表団とともに、いくつかの重要な点が決定されるという期待もってこの会議にやってきました。それらは、以下のとおりです。
まず、京都議定書の第2約束期間を設定するための改正案とルールに合意しなければなりません。これは、暫定的な発効を可能とする批准可能な改正案をもつことを意味します。そうすれば、第2約束期間開始までに空白をあけることになりません。
第2に、京都議定書と平行し、新しい議定書の交渉を開始するためのマンデートに合意すべきです。我々はこの新しい議定書の交渉を直ちに始め、12ヶ月のうちに作業を終えなければなりません。この新しい議定書の基礎となるのは、バリ行動計画です。我々はすでにこの新しいバリ行動計画という合意を実施するためにかなりの作業をしてきました。その作業は、「気候変動枠組条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)」で行われてきました。全ての主要排出国がそれぞれの排出量を削減するための約束と長期における適応策を確実なものとするために、今、我々はこれらの全ての作業を、新しい議定書を採択するための交渉に変更するべきです。
この会議における我々の第3目の目標は、実態ある損失と破壊に関する作業計画を確保することです。これは、ツバルのような最も脆弱な国にとってはとても重要で、気候変動の壊滅的な影響後の復興支援をする国際的な資金メカニズムが必要です。残念なことに、我々の交渉相手たちは、これらの内容を弱め、意味のない物にしようとしています。
議長
2009年、ツバルは気候変動枠組条約の下で新しい議定書案を提出しました。我々はコペンハーゲン会議で合意されることを願って、この新しい議定書をコペンハーゲン議定書と呼んでいました。全ての締約国が参加する良い合意という理にかなった枠組みを提供しているため、我々はこの議定書を支持していました。悲しい事に、コペンハーゲンでは、我々はこの議定書に合意しませんでした。その代わり、我々は価値のないコペンハーゲン合意に署名することを求められました。ツバルは確固たる正当な理由により、この合意を受け入れませんでした。
国連気候変動枠組条約は、理論的には世界の全ての国のためのものです。不幸なことに、それは全ての国に開かれたものになっていません。中華民国、いわゆる台湾は、この重要な条約に参加することができません。それは彼らが国連の枠組のもと国として認められていないからです。これは国家としての主権を否定する悲しい事です。我々は、議長に対し、台湾をこの重要な条約の締約国として参加する手段を検討するよう求めます。
緊急性が必要であるということと、ダーバンでは具体的な結果が必要であるということを、もう一度強調したいと思います。我々は、ダーバン会議が、気候変動に関する交渉プロセスの流れを変える重要なヤマ場であり、頂点となってほしいと思います。我々は、子ども達にツバルを救ったのはダーバンだったと伝える事ができるよう、ダーバンに来た事を誇りに思えるようにしたいです。
最後に、ここにいる全ての締約国が、我々の子ども達の世界を救う合意をし、世界中の全ての国と将来世代に対して、クリスマスのプレゼントをあげようではありませんか。
メリークリスマス。そして、新年おめでとうございます。
ご清聴ありがとうございました。
Tuvalu mo te Atua / 全能の神のためのツバル
――――
執筆・翻訳は当団体副代表理事 川阪京子が行いました。