1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

気候変動ニュース

毎年この時期は一年のうちでも特に海面が高くなる大潮の満潮になります。2月10日は3.18mという数字が想定されていました。観測上一番海面が高くなったのは2006年2月の大潮で、その際は3.48mが観測値でした。その数値に比べれば低めの予測でしたが、例年のように島内ではあちこちの地面から水が噴き出し、池のような海水の水たまりが幾つも出現しました。

※紹介した数字は測量基準点からの数字です。だいたい3mを超えると地面から水が湧き出してきます。

写真のように海水は家の前からでも沸き出しています。

またラグーン側の海岸線の浸食も続いています。

海岸線の浸食に関しては、日本政府内では第二次大戦中に埋め立てた場所だから削られて当たり前である、海面上昇の被害ではないのだからこのような被害に対して支援には疑問を感じる、という論調があるようですが、埋め立て工事はすでに半世紀以上昔の話です。数代に渡って土地を受け継ぎ、その土地を頼りにしてきた地主にしてみれば、その理由に寄らず、なにかの助けを求めたくなるのは当然でしょうし、家が流されるような被害が出れば、人道的にも助けが必要になるのではないでしょうか?

また浸食の被害は首都のフナフチ環礁に留まらず、ツバル国内の他環礁の、埋め立て工事がされていない場所でも数多く観測されています。その理由をどのように説明できるのでしょうか?

また、海水が地下から湧き出す現象に関しても、昔からこの島では海水が噴き出す場所があると記述された文献を根拠に、この現象は海面上昇とは無関係であるとする論調もあるようですが、私たちの聞き取り調査では、湧き出す海水の水位は昔に比べれば、随分高くなっているという意見が多く見られます。また、その影響でタロ芋作りをあきらめてしまった地主も多くいます。

今、ツバルで観られるこのような現象と気候変動の因果関係は、近い将来はっきり見えてくるものと思いますが、海面が上昇すればこのような現象が世界各国で発生すると想像することは容易です。その時、ツバルではこの現象はどのような被害に発展していくのでしょうか?

そう考えると、まず、根本的な解決策としての温室効果ガス排出削減は急務です。そして、ツバルの首都のフナフチ環礁で見られる被害に対しても、海面上昇の被害ではないから実質的な支援は必要がない、という考え方ではなく、原因は特定できないが、人道的には支援するべきであろうという国際貢献の基本的な立場に立って、今一度、検討をする必要のある課題だと考えています。