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気候変動ニュース

ハワイにある米国の政府調査研究所で毎日測定されている二酸化炭素(CO2)の数値が、初めて400ppmを超えた。ハワイのマウナロア火山の上に位置する測定所は、1958年以降ずっと大気中のガス濃度を測定し、記録し続けている。これ以前にCO2濃度が常時400ppm以上だったのは、現生人類が存在する前の300万年から500万年前であった。また科学者たちは、当時の気候は現代よりも温暖だったと言う。

CO2は、地球の気温をここ数十年に渡って上昇させている原因とされている人工的な温室効果ガスの中でも、一番重要視されているものである。人間活動による要因は、主に、石炭、石油、ガスなど化石燃料の燃焼である。

マウナロア火山で見られる通常の傾向では、CO2濃度は冬期に上昇し、北半球が暖かくなるにつれて低下する。森林や植物が大気中のガスの一部を吸収するからである。つまり今後数週間で数値は400ppm以下に落ちると予測できるということだが、長期的な傾向は上昇を示している。

2013年5月9日、CO2濃度の日平均は400.03だった。米国海洋大気庁に属するマウナロアの地球システム調査研究所の責任者ジェームス・バットラー氏はBBCニュースにこう話す。「二酸化炭素(の濃度)は、時間、日、週単位で変動するため、ひとつの数値をとって問題視することはしたくない。そのため、少なくとも、今回のように、日平均の数値を使っている。(中略)去年は、観測史上初めて北極圏内の観測所すべてにおいて、濃度が400ppmを超えたが、マウナロアで日平均が400ppmを超えたのは今回が初めてだ。」

マウナロアで長期的な観測が始まったのは、スクリップス海洋学研究所の科学者チャールズ・キーリング氏である。彼は、1958年に、火山の頂上でのCO2濃度が約315ppm(100万の大気中の分子の中に、二酸化炭素の分子が315存在するということ)だったことを発見した。それから毎年、『キーリング曲線』は上昇している。スクリップスは、山頂で米国海洋大気庁と並んで計測を続けているが、彼らの機材でも、ここ数日の数値は、400ppmを超えており、9日木曜日の日平均は、399.73だった。

近代的な観測技術が発達する前のCO2濃度を調べるには、代理の方法をとらなければならないが、そのひとつとして、南極の氷の中に閉じ込められた古代の空気の気泡を調査するというやり方がある。そのような手法を使って、過去80万年のCO2濃度を調べてみると、この長期の期間においてCO2の濃度は200-300ppmで安定していたことがわかる。しかしバットラー博士は、「おそらく来年または再来年には、年平均が400ppmを超えるだろう。その数年後には南極でも400ppmを越え、8・9年後には400以下の数値を見るのがおそらく最後になるだろう」と話した。

※地球温暖化の深刻な被害を避けるためには、温室効果ガスの濃度を450PPMまでに抑える必要があるとされていますが、1958年より観測を続けているハワイの観測所で、観測史上最高値を記録し、危険水準へまた一歩近づいたことが発表されました。この記事は下記関連記事の日本語訳(要約)です。

Original Text: Carbon dioxide passes symbolic mark

翻訳 濱川 明日香(Tuvalu Overview副代表理事)