1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

気候変動ニュース

24085451_10155904339516060_2073223710_o

 

COP23 全体会合 ステイトメント
エネレ・ソセネ・ソポアンガ ツバル国首相
2017年11月16日

 

COP議長
各国首脳の皆さま
会場の皆さま

私たちの良い友人であり隣人であるフランク・バイ二マラマフィジー首相が主催するCOP23にこのように参加できるのは、喜ばしく名誉なことであります。また、暖かいもてなしの心でこのCOPをサポートしてくださるドイツ政府とドイツ国民の皆さまにも感謝いたします。

私たちはフィジーから地球を半周した、海からも少し遠いブラゾーンのメイン会議場にいますが、たくさんのポスターやブラスカートを着た色鮮やかな人々が、このCOPが島しょ国のCOPであるということを常に思い起こさせてくれます。

私たち島しょ国は気候変動の最前線にいますが、私たちはただ気候変動の悪影響の被害を受けているだけではありません。最近の研究によると、毎日平均62,000人の人々が、気候変動に関連した災害によって、強制的に移住させられていると言われています。毎日、62,000もの人々が気候変動の悪影響を受けているのです。

議長、私は、ツバルの人々を代表しツバル首相として、このCOP23に来ています。私は、大きな責任を負って来ているのです。私は、この島しょ国/太平洋諸国のCOP23の成果がツバルに未来をもたらしてくれるであろう、というツバル国民の希望を背負っています。ゆえに、私たちは、緊急感と高い望みを持って、今ここで一緒に行動しなければなりません。私たちは、さらなる温室効果ガスの排出を止めなければなりません。

これは、とても大きな責任です。その責任の大きさに、私は夜眠れず、何度も目覚めてしまう状態が続いています。私たちの国は、今のまま存続することができるのでしょうか?それとも、海の下に沈んで消えてしまうのでしょうか?人類の歴史の中で、このような大きな疑問に直面した首脳はこれまでにいないでしょう。

ここにいる皆さんにもう一度伺います。私と同じ立場にたったときどう思われますか? 少しの間、考えてみてください。もし、あなたの国がなくなってしまうという危機的な状態に直面したら、あなたはどうしますか?少しの時間、自分でこの質問について考えてみて下さい。あなたならどうしますか?

気候変動は、私たちの国と人類が直面する最大の課題です。ツバルの全国民の暮らしや安全保障、そして、幸せを脅かします。これは計り知れないくらい大きな戦いです。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書の最新の予測によると、地球の平均気温は、今より2.6℃から4.8℃上昇するとしています。想像できますか?IPCCによる一番低い予測の値でも世界がどのようになってしまうか想像できますか?地球は破壊的な状況になってしまうでしょう。

ツバルは、国際的なパートナーによる我々の国が自主的に掲げる目標(Nationally Determined Contributions)を達成するために導入された再生可能エネルギーや緑の気候基金(Green Climate Fund/GCF)による我々の気候変動の影響から迅速に回復する力や保護するための支援に感謝しています。しかし、この島しょ国のCOPでは、島しょ国がよりよく守られ、気候変動の悪影響から救われることを確実なものにするため取り組まなければなりません。そのためには、この会議において、いくつかの主要な成果をあげることが期待されます。

まず最初に、私たち皆が、適応基金がパリ協定の資金メカニズムとして機能することに合意しなければなりません。適応基金は、気候変動の悪影響に対して脆弱な国々が、その影響に適応するための努力を支援するための長い間常設されてきた基金です。もし、このCOPで適応基金がパリ協定の資金メカニズムとして機能することに合意できなかったら、COPの成果は不十分なものになるでしょう。

次に、損失と損害に関する作業をするための本格的なプラットフォームを作らなければなりません。損失と損害に関するワルシャワ国際メカニズムの執行委員会の作業に敬意を払いますが、COPとパリ協定の締約国会合の下で、確実に損失と損害に関してどのような対策が行われたかを定期的に見直されるようにしなければなりません。ゆえに、損失と損害に関する作業の進捗について見直すための議題が必要なのです。

議長、私たちは、損失と損害の作業の進展を妨げようとする国々に、深く心を痛めています。パリ協定を合意する過程においても、似たような進展を妨げるための方策を経験しました。現在、パリ協定の下に損失と損害は位置づけられており、我々は行動しなければならないのです。愚かな議論の進展を妨げる方策はもうやめなければなりません。気候変動懐疑論者は家に帰ってください。私たち、気候変動が起っていることを信じている国は、行動するために、そして、自国の市民を救うためにここにいます。懐疑論者を排斥し、彼らの無知さを非難しようではないですか。

リマで行われたCOP20で申し上げたことを、繰り返し申し上げます。偉大なイタリアの詩人ダンテは書きました「地獄の最も暗黒な場所は道徳的危機の時に中立を保っていた人のために用意されている。」と。

議長、海洋と気候変動の問題に対しても注目していただきたいです。島しょ国に住む者として、私たちは気候変動が私たちの海に影響を与えていることを知っています。私たちはサンゴが白化しているのを目撃し、私たちは、私たちの海が暖かくなってきているのを知っています。そして、私たちは、海面が上昇していることも知っています。私たちは、海と気候変動とを関連付けなければなりません。パリ協定の下進んでいる交渉プロセスにおいて、海と気候変動との関連についても議論されることを望みます。

議長、私たちは、気候変動は全ての人々に影響を与えると考えています。ゆえに、COPは、全ての人々の代表の参加を確保しなければなりません。中華民国/台湾のような国々も締約国としてCOPに参加できるようにしなければなりません。

今回、私は、私たちが求める世界のビジョンを国に持ち帰りたいと考えています。 私たちは、全ての人たちがクリーンな再生可能エネルギーを利用する未来を創らねばなりません。この未来に向かために、私たちは、石炭の採掘を止めなければなりません。私たちは、石炭を燃やし大気を汚染し続けることはできません。それは理にかなっていません。私は、全ての国に対し、石炭を止め、クリーンな未来のために立ち上がることを強く訴えます。その未来は、世界中の全ての人たちの未来です。

最後に、全ての人にお願いがあります。この部屋を去った後最初に見た子どもの目をみてください。全ての人に子どもの目を見て、その子どもたちの目が見るであろう10年後、20年後の世界を想像してください。子どもたちは、持続可能な地球を見るでしょうか?もしくは破壊された地球を見るでしょうか?どちらにするかは、私たちの責任です。

議長、私たちは、ボンでの成果を誇り高いものにしようではありませんか。子どもたちの目を見て、ほら。君たちの未来を創ったよ!と言えるようにしようではありませか。この地球という名前のカヌーを一緒に漕ごうではありませんか。もし私たちと一緒にカヌーを漕ぎたくなければ、カヌーから飛び降り、報いを受けてください。2017年を後の時代から非難されない、忘れ去られない年にしようではありませんか。COP23を、ツバルを救い、世界を救う機会にしようではありませんか。

Tuvalu mo te atua. (全能の神のためのツバル)

翻訳:川阪京子 編集:遠藤秀一