1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

気候変動ニュース

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先週クックアイランドで開催されていた太平洋諸島フォーラム(PIF)において、Anthony Albanese(オーストラリア)首相から、様々な憶測を呼ぶ発表がありました。

発表の内容は「毎年280人のツバル人にオーストラリアで「生活、就労、就学」するための「特別移動経路(special mobility pathway)」を与える。居住のための施設なども用意する。見返りとしてツバル国はオーストラリア政府からの安全保障に関する条件を受け入れる。」というものです。

「尊厳ある移住( migration with dignity )」として発表されたこの協定は「ファレピニ・ユニオン(the Falepili Union=良き隣人)」と命名されました。実際の運用は今後の課題かと思われますが、現時点では毎年の抽選で選ばれた最大280人のツバル人がツバルの市民権を保持したままオーストラリアの居住権を得て移住することができるという内容になっています。現時点での想定全人口の11,200人の移住完了まで40年かかる計算です。

PIF会期中にオーストラリア首相とツバル国カウセア首相が秘密裏に会談して合意したと発表されています。ツバル国からの要請を受けて実現した協定と発表されていますが、現在でも頭脳流出や労働力の不足などが顕在化しているツバル国にとって、自国民の海外への移住は両手をあげて喜べない側面もあります。

協定の交換条件として、ツバル国がオーストラリアが提供する安全保障(自然災害、パンデミック、軍事侵攻)を受け入れることと、今後、ツバルがオーストラリア以外の国と安全保障協定を締結する前には、オーストラリアの同意を得ること、という約束が付加されており、これはツバル国の主権侵害では?という声も上がっています。

この協定は2024年1月から発効される予定となっています。ツバル国内ではその前に総選挙を実施してツバル国民の真意を問う場を設けるようです。

気候変動の原因は際限なく増長するグローバリズムにあることは明確です。COPではその議論を避け、二酸化炭素排出だけに焦点をあてた言葉遊びを延々と続けていますが、本来であればグローバリズムの縮小を議論する場であるべきです。しかし、参加国がほぼすべてグローバリスムの支配下にある会議では、そのような議論の余地はありません。

最悪の結果として、移住したツバル人が沙漠の難民キャンプで生活し、石炭鉱山の労働力にされないことを祈るばかりです。

会議後のオーストラリア首相のインタビューの最後に「この提案はツバル国の文化と国家を保護します」という締めの言葉を懐疑的に受け取った人は少なくないようでした。

https://asia.nikkei.com/Opinion/Australian-climate-action-must-go-beyond-lifeline-for-Tuvalu

https://www.abc.net.au/news/2023-11-10/tuvalu-residents-resettle-australia-sea-levels-climate-change/103090070?fbclid=IwAR02FK1TmC-gf_pjdhauZswDS6cXyEX7C59Y7SLRg1RaqIREaqRxtIwQC9U