1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

気候変動ニュース

世界約200カ国から3000人が参加している天津会議。もちろん、気候変動枠組条約と京都議定書の締約国であるツバルからも約3名参加しています。その 中に、今回の会議にNGOから参加しているTaukiei Kitaraさんがいます。

Taukieiさんは、ツバルの環境NGOTANGOのメンバーで、フナフチ島役場のプロジェクトを支援している世界環境ファシリティー(GEF)のス モールグラントプログラムの在ツバル担当者です。普段、ツバルでは地域で活動するNGOのメンバーですが、このような国連の会議には、昨年の7月にボンで あった会議から参加しています。ここでは、他の参加者同様、会議場の中で、朝から夜まで会議から会議へ忙しく動き回る毎日を過ごしています。

そんな忙しい彼を捕まえて、今の会議の状況を聞いてみたら、「交渉を前に進めようとしているが、なかなか進展がみられないのは残念だ。現在、各国から提出 されている排出削減の数値は、私たちが望むものよりも低い。もっと高い数値を掲げてほしい。特に日本にはがんばってもらいたい。ここでの日本政府の発言を 見ると、まるで日本は、京都議定書をなくしてしまおうをしているように見える。それはとても悲しいことだ。どうしてそんなことをするの?もっと、日本は議 論をまとめる方向でがんばってほしい。日本の人たちは、日本の美しい都市の名前をもつ京都議定書をもっと誇りに思い、日本政府が京都議定書をなくしてしま うようなことをしないように、働きかけてほしい。」という答えが返ってきました。

今の交渉では、京都議定書のもと、工業化により歴史的に排出量が多い日本やヨーロッパ、カナダなどの国の2013年以降の数値目標が議論されています。そ れと並行して、気候変動枠組み条約のもと、京都議定書もとで削減義務を負っていないアメリカや経済発展に伴い排出量が増加している中国、ブラジル、インド などの削減対策について議論されています。

ツバルなど島しょ国が望んでいるように、大気中の二酸化炭素の濃度を350ppmに抑えようとしたら、この2つ議論において、世界全体で相当大幅な削減を 実現するような削減数値や削減対策に合意しなければなりません。

実際は、日本やヨーロッパ、カナダなどは、アメリカ、中国、ブラジル、インドが一定の削減をしてくれないと、自分たちもさらに削減しないという姿勢でお り、一方の中国、ブラジルインドなども、アメリカ、日本やヨーロッパ、カナダなどはさらに削減するのは当然で、自分たちは、歴史的な排出量が多くないの で、同じだけの削減は負えないという姿勢でぶつかっており、進展がなかなか見られていません。

昨日、条約の下での議論で、これまでの交渉の進捗確認が行われ、議長よりカンクンでの合意に含めるべき要素についてまとめたペーパーが発表されました。あと残り3日、カンクン会議での意味ある合意を目指し、交渉が続けられています。

(執筆:川阪京子)