1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

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脱・土建特区「日本」

2001年、僕たちはこういう私利私欲を追い求める発展途上政治の体質構造を改革すると言った小泉首相の姿勢に賛同した。「自民党をぶっ壊す」かっこよかった。しかし、彼が出来たことと言えば「構造改革」という言葉を改ざんする程度で終わった。各地で私腹を肥やすための公共工事が横行し、大切な税金と、取り返すことの出来ない美しい自然が消去されていく。こうなったら政権党を取り替えて違う体制でどうなるのか?それを行わせるしか国民の選択肢は残されていない。

那覇市周辺では10畳近い広々とした屋根付きのバルコニーやテラスが付けられた新築の家を良く目にする。グアムやサイパンでもよく見かけるタイプだ。この鉄筋コンクリート造の家が流行っていると聞く。大きく張り出したテラスやバルコニーはあまり使わないそうだ。ただ、新築するときはご近所に恥ずかしくないテラスつきのデカイ家が喜ばれるそうだ。しかし、沖縄の所得事情は芳しくない。自ずと長期のローンを組んで家を建てる。「借金コンクリート」って呼ぶんですよ、タクシーの運転手はそういって笑った。

墓も家も立派な方が良い!根底にある民族的なこの思いにつけ込んでいる人間がごまんといる。どうせ作るのだったら立派な方が良い。本当に?身の丈に合わない土木工事ばかりやっていると国全体が借金コンクリートで塗り固められてしまう。ちなみに、この原稿を書いている時点で、日本の借金は700兆円を超えている。(参照:日本の借金時計

辺野古視察の後、O氏に無理をお願いして名護の沖縄記念公園まで運んで貰った。美ら海水族館のジンベイザメを是非見たかったからだ。その途中に安和鉱山と呼ばれてる石灰岩の採掘場がある。採掘した石灰岩をを運び出すために、大型のダンプが列を作って通り過ぎていく。その道も海岸線沿いを埋め立てた得意のバイパスだ。鉱山だから当たり前とする向きも多いかもしれないが、何故か強い違和感を覚えた。琉球セメントという会社の看板が目にとまる。戦後の復興には大きく貢献した会社であったと思われるが「郷土の資源で郷土を創る」という理念はとっくに時代遅れで、「郷土を潰して自然も潰す」の方が時勢に合う。

自然を全部潰したら観光客は激減すると思うんだけどな~まっ観光客も「いろいろ」だから大丈夫か?

泡瀬干潟・辺野古沖を視察して その12

安和鉱山、山肌は無惨にも削り取られていく。

泡瀬干潟・辺野古沖を視察して その13

鉱山横ではダンプが通れる道があるにもかかわらず、あきずにバイパス工事中。まっすぐ道を延ばすために橋脚工事をしている最中。まったくあきれる。

※「いろいろ」小泉首相の迷言:勤務実態がないにも関わらず、幽霊社員として厚生年金に不正加入していたとして追及された際、「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」と強弁し、物議を醸した。

ハンドルを握るO氏が、どこかの地域を特定して、そこを土建屋と族議員が活躍する「特区」にしたら良いんですよ、とつぶやいた。建てては壊し、また建てる。その特区ではそれをひたすら繰り返す。それはいいですね!と大笑いしたその目の前に、又バイパス工事中の看板だ。笑えない現実が目前にある。土建特区「沖縄」そんな風に呼ばれてしまう前にこの状況をどうにかしなくてはいけない。

無数の人間で構成される社会は、一見すると一つの方向に流れている川のように見えるが、その流れの中には色々な考え方の個人の意志が小さい乱れを作っている。乱れは大きくなったり散らばったりしながら本流に影響を与え続ける。その力はやがて本流の方向を変えるのだ。泡瀬にしても、辺野古にしても、おかしいと思ったら声を出すべきである。新聞への投書でも良い、守る会などに署名をしても良いだろう。その小さな声は小さな乱れとなって、必ず本流に影響を与える。

昔、ゼネコンの設計部で働いていた時に「君ね、夢だけじゃ給料貰えないんだよ」と嫌みたっぷりに現場の所長によく言われた。「メシが食えなきゃ困るでしょう?少しは現場の利益も考えてよ」と必ずこう続く。退職して8年、夢ばかり追い求めた結果、よく分かったことは「自然を壊してしまってはメシが食えないでしょう」ということだ。つけあがってはいけない。僕ら人間は所詮動物なのだから。

文責:遠藤秀一 Tuvalu Overview主宰

※最後までお読みくださいましてありがとうございました。ご意見ご感想などお待ちしております。mail to Tuvalu Overview(http://www.tuvalu-overview.tv/contact.html)お気軽にお寄せください。どうしても埋め立てをしないと生きていけないという方がいらっしゃいましたら是非ご連絡ください。ツバル国内に良い場所をご用意出来ると思います。大変喜ばれると思います。

※このレポートに関して異論反論をいただいております。付録ページにまとめてあります。こちらも是非ご一読ください。付録ページへ>>(http://www.tuvalu-overview.tv/topics/okinawa/objection/index.html)

泡瀬干潟・辺野古沖を視察して その14

美ら海水族館の大水槽。中の魚は不幸かもしれない。

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