エネルギー・環境に関するパブコメ
特定非営利活動法人 Tuvalu Overviewは本日、「エネルギー・環境に関する選択肢」に対して、下記のパブリックコメントを提出しました。このまま、日本が原子力政策を続けていけば、私たち日本人のみならず、太平洋に生きる人々の未来にも大きな危機を造り残してしまいます。政府が示した2030年までは原発の稼働容認の判断は大きな間違えということができます。「即時廃炉」この声を沢山の人が意見として投稿することが大切だと思います。下記から投稿できますので、是非、ご参加下さい。8月12日締め切りです。
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0027.html
以下は当団体が提出したパブリックコメントです。写真はNOAAが発表した東京電力福島第一発電所からの放射能物質の飛散予測です。すでに南太平洋中に飛散してしまっていることが想像できます。同じように海水中でも数兆ベクレルという単位で流出が続いています。
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[概要]
シナリオ0%を選択するがそれでも不十分、全原発即時廃炉、省エネルギー50%+再生可能エネルギー50%を目標にする新シナリオを策定し、非核と再生可能エネルギー社会の確立こそが国際社会の中の日本の役割。
[意見と理由]
現状から我が国の未来を鑑みた場合シナリオ0でも不十分であり、即時廃炉を掲げ、省エネ対策強化と再生可能エネルギーの割合を高める[シナリオ0α]を追加し審議することを提言する。
■もう一つのシナリオ[0α]が必要な理由
1,地震国日本での原子力事業の危険性
2030年までに地震が起こる確立は非常に高く、次の地震によって稼働中の原子力発電所が甚大な事故に至る確立を人間の技術で0にすることができないことは、東京電力福島第一発電所の事故の発生経緯や事後処理から明確な事実となった今、原子力発電事業、再処理事業、もんじゅ、などの関連施設が日本に存在することが国際社会に大きな危機感を与えている。国際協力の見知からも、原子力発電所を即時廃炉し、関連事業の終了と施設の解体、残された核エネルギーの処理に早急に着手すべきである。
2,放射性物質の排出
2011年3月11日に発生した地震により甚大な事故を起こした東京電力福島第一発電所から流出し続けている放射性物質は大気中に蔓延し、太平洋に垂れ流された放射能物質に関しても数兆ベクレルという今まで人類が経験したことのない累計となってもまだ、この事態を止めることができない状況の中で、さらに重ねて再稼働した原発からも放射性物質を排出するという行為は、人類の未来に巨大な危険を与える愚行として、国際社会から批判されて当然であり、ましては先進国としての我が国の判断として大きな誤りである。原子力発電所の即時廃炉しか選択することはできないと考えるのが妥当であろう。
また、当団体が活動を行っている南太平洋の島国の将来を考えれば、現在海洋中に垂れ流しにされている放射性物質はやがて同エリアにも拡散し、食物連鎖の中で濃縮し、主に自給自足で生きている南太平洋の人々の食料として摂取され内部被爆につながる事は明確で避けられない未来であり、それによる影響は甚大なものになるであろう。対して、南太平洋諸国から日本のエネルギー政策に批判的な声が聞こえてこないのは、長年行ってきたODAや島サミットでの拠出による口止めの効果であり、ビキニ環礁で行われたような放射能汚染に同諸国が甘んじる姿勢にあるわけではないことも注記しておきたい。
3,地球温暖化防止対策の強化
鳩山前首相が国際社会へ公約した温室効果ガスを2020年までに1990年比で25%削減するという数値目標は、現在でも高く評価できる有効な数値である。この目標を実現するためにも、シナリオ[0α]では、1990年比で50%の省エネルギーを実現可能な目標として掲げ、再生可能エネルギー割合を50%まで引き上げる内容がふさわしい。その為には、現在独占体制にある各電力会社の解体、送電分離への早急な移行。そして、個人や新規電力事業者による再生可能エネルギー導入に際しての規制緩和に加えて、まやかしの補助金事業だけに頼らない、実のあるインセンティブを抽出し実行する必要がある。その為にも、いままで官僚と広告代理店に丸投げし、意思決定へ国民の意見をどのように反映するのか具体的な道筋も示さず、国民の声を聞いたというアリバイ作りに使われて来た形式的な公聴会などの国民参加の場も大きく変えなければならない。
■シナリオ[0α]を支え実現する国民議論の実現
「広く国民的議論を」という政府高官の台詞とは裏腹に、国民対話の場として用意される公聴会は政府と広告代理店が用意した出来レースとやらせの横行が日常茶飯事であり事実上機能していない。パブリックコメントにおいても、本来の目的である専門家からのアドバイスを広く求める機能は矮小化しており、対立するステークフォルダー同士の投票行動の様相を見せている。このようなシステムでは国民が何を望んでいるのか?が、判断をしなければならない政治家に届くことはなく、結果的に悪政が続くことの一因となっている。
特にエネルギー政策に対しては、現時点での決定に長期間に渡り影響を受ける若い世代からの意見を集めることが大切である。その為にも、インターネットや携帯端末を活用することは有効だと考える。スマートフォンなどを活用してのアンケート調査での各選択肢へのポイントの集計だけでも充分方向性を見極めることはできるであろう。このようなネット利用の調査で大切なのは、正確性はもちろんであるが、結果に対する政府の説明責任の確実な実行にあると言える。国民が求める方向に対して、政府が選択する方向の差異を丁寧に説明していくことが重要である。
現在の10代~30代のネット世代は、周辺から無視されることに非常に敏感であり、逆に、緩やかに受け入れられている状況においてこそ、自分の意見を発言できるという特徴がある。アンケート調査の結果、自分の回答が選択されなかったとしても、その理由を丁寧に説明することで、参加意識を創り上げていくことが大切である。その為には、官房機密費の廃止、記者クラブの廃止なども含めて、政府が自主的に自らの説明を透明に公開できる場を作っていく努力と行動も必要である。
■最後に
国民の英知を集め行動をまとめていくことができれば、省エネルギー50%+再生可能エネルギー50%の目標は2030年を待たずに実現可能である。その結果、全ての原発を廃炉にし、温室効果ガス25%削減という国際社会に向けた公約を果たすことができるだけではなく、国民と国家のエネルギー安全保障を確立することができる。政治は経済の為ではなく国民の命を守ることにある。経済が成り立たなければ国民の命が守れないのであれば、経済が無くても国民の命を守れる方法を模索し実践するのが政治であろう。本来の政治の信念に立ち返れば、今後、原子力発電所を稼働させることは考えられないはずであり、即時廃炉を目的にした「シナリオ0α」の選択を強く提言する。
特定非営利活動法人 Tuvalu Overview
代表理事 遠藤秀一(ツバル国環境親善大使)