キリバス、食糧安全の為フィジーに土地購入
海面上昇の影響に苦しむ太平洋諸国キリバス共和国の政府は、食糧の安全を確保するため、フィジーのサブサブ(バヌアレブ島)付近に6000エーカー(24km2)の土地を購入すると発表。既に国内でのコミュニティレベルの移住は始まっており、年々増えていると言う。気候変動から守れるものはできる限り守りたい、という方針だ。
キリバスの大統領アノテ・トン(Anote Tong)氏は、長年に渡って自国キリバスにおける気候変動の影響について世界に訴えてきた。以下、ニューデリーで行われた第12回持続可能開発会議に参加していたトン大統領のインタビューだ。
「私はキリバス国民にパニックして欲しくないのです。フィジーのサブサブに土地を購入するのは、あくまでも食糧の安全保障のためであり、キリバス人の移住を目的とするものではありません。国民がパニックを起こさないためにも、もし移住することとなった時に動揺することのないよう、トレーニングをしています。
もちろんこれは、強制的に移住を強いるものではなく、もし国民が移住を望むのであれば、そういうチョイスもある、ということです。もし移住する事となったら、『気候変動の為に移住を強いられた』というのではなく、『移住する選択があったから移住した』と言って欲しいのです。
既にいくつかの島が沈んでしまう危機にあるキリバスの国民は、全ての島を救うことが不可能だということを理解しています。私たちは、キリバス人全員がキリバスに残ることができないであろうことも受け入れました。一部の人たちは移住を迫られるでしょう。それでも、国全体を海面上昇に失うことは無いよう、可能な全てのことをするつもりです。いくつかの島は、島に高度を持たせる対策をとるつもりですが、全ての島にそれをすることはできません。それだけのお金をくれる人はどこにもませんから。しかし、国全体の移住は、他に打つ手が何もなくなった時の最終手段です。
キリバス政府は、食糧源の確保など、他のオプションを考慮しています。現在キリバスの作物は気候変動の影響で害を受けているため、作物の多くを海外から輸入しています。つまり、今回購入する予定の土地は、食糧の安全保障のための投資なのです。既に土地の測量は終了しており、あとは省庁の許可が下りるのを待つのみです。」
(Original text: Kiribati To Buy 6,000 Acres Of Land In Fiji For Food Security)
翻訳 濱川 明日香(Tuvalu Overview副代表理事)