給水車の寄贈式を行いました。
ツバルの首都フナフチでは、30年ほど前から地下水への塩害が始まり、島民は雨水に頼る生活を送ってきました。1997年春から起こったエルニーニョに起因する水不足の折りに、日本政府の草の根無償援助により、海水から真水を製造する海水淡水化装置が1999年9月(1999年9月12日試運転開始)に設置されました。
当初、この装置はバイアクラギホテルの隣に設置され稼働していました。製造した水はタンクローリーで島内の水タンクに運び、そこから島の人たちに分配されていました。その後、小規模な海水淡水化装置が離島にも援助され配備されたとのお話しを、水処理エース株式会社の代表取締役の珍坂氏よりお伺いすることができました。生活の根底にある飲料水、こういう大切なところに日本の技術が活きていると言うことは本当に嬉しいことです。
その後、同じく政府の草の根無償援助によってウオータータンクを運搬するためのトラクターが導入され、給水車が各家庭の庭先にある雨水タンクに直接給水できるようになったこと、同島の人口が増え続けていることなども要因となって、淡水化装置で造った水の需要はますます増える一方となりました。1999年当時は本当に水が無くなってしまっていたので、無償で配布していましたが、現在は有料となっています。
淡水化装置も給水車もフル稼働していたのですが、初代のダンクローリーが老朽化してきていたので、それにかわる給水車をツバル政府は探していました。2004年10月にコスモ石油のCSR担当スタッフがツバルの調査に訪れた際、同社が日本国内で使用していたタンクローリーをタンク洗浄して寄贈することを提案してくださったのが今回の無償援助の始まりとなりました。
コスモ石油では「コスモ石油エコカード基金」というユニークなプロジェクトを行っています。ガソリンを購入するカード会員の皆さんから毎年500円ずつの寄付金をお預かりし、それとほぼ同額の金額を同社の売上から基金に提供し、NPO法人や公益法人と共に環境保存活動を推進しているのです。(詳細は同社ホームページから)今回のタンクローリーの援助もこの基金を通して推進されました。
今年2005年になって、初代のタンクローリーはいよいよ走行が難しい状態になってしまっていたので、一刻も早くタンクローリーがツバルに届くように、NGO Tuvalu Overviewもコーディネーターとして参加協力することになりました。
老朽化して運転席部分が錆び落ちてしまったタンクローリー、ミッションも壊れていて
前1速、後1速しか動かない上に、ギアを切り替えるためにはその都度エンジンを
切らなければならないという状態、2005年4月撮影、運転席は現地NGO代表のパーニ氏
4月に細かい打合せを日本で行った後、コスモ石油の迅速な作業によって、タンク内を徹底的に洗浄し、淡水送出用のステンレスポンプをビルトインした特別仕様のタンクローリーが完成し、7月中旬には船積みを行うことができました。タンクローリーはフィジーで別の船に積み替えられ、2週間かけてフナフチに到着しました。
政府庁舎の前にディスプレイされたタンクローリーの巨体。
狭い島の中でUターンができるのか?など、心配もあったが、特に問題はない様子。
フナフチの小さな港でどうやって陸揚げしたのか見てみたかったのですが、陸揚げ後、試運転も無事に済んだという連絡を受けて、8月末の土曜日に寄贈式を行うべく日本を出発しました。CSR部長の赤松さんと室長代理の鈴木さん、それからコスモ石油の手配によるカメラマンの土岐さん、僕の4名のチームです。
寄贈式の様子、鍵の形の記念品の右側がマーティア首相、左側が赤松部長、
続いて鈴木室長代理、パーニ現地NGO代表、左端が日本事務局代表の遠藤
最短日程での現地訪問でしたが途中飛行機のアクシデントなどもなく、予定通り到着し無事に寄贈式を行うことができました。2日目の晩にはマーティア首相の主催による晩餐会も催されて、各担当大臣からお礼の言葉とともに未来への協力のお願いが述べられました。これを受けて、CSR部長の赤松さんからも将来への協力を前向きに検討していきたいという言葉をいただき、晩餐会は大成功となりました。
晩餐会でのマーティア首相のスピーチの様子
今回はNGO Tuvalu Overviewのコーディネート事業として初めての仕事でしたが、万事うまくいって胸をなでおろしているところです。今後の活動も頑張って続けていきたいと思っています。コスモ石油の皆さん、そしてコスモ石油のカード会員の皆さん、本当にありがとうございました。