1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

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COP20にご出席の各国大統領、各国首脳、各国大臣、国連事務総長、UNFCCC事務局長、政府高官のみなさま、そして、同僚のみなさん

ボリビアのモラレス大統領の後にお話しさせていただくこと有り難く存じます。今年9月に、私はモラレス大統領と一緒に、国連事務総長が開催した気候変動サミットにおいて、気候変動の影響に脆弱な国々に関する円卓会議の共同議長を務めました。ここで大統領と再会できてうれしいです。

最初に、ペルーの国民の皆様の暖かいおもてなしに感謝します。ツバルとペルーには、興味深く、しかし、かなり悲劇的で歴史的なつながりがあります。この土地ペルーに、埋葬されたツバル人がいます。私たちは自分たちの意志に反してここに連れてこられた私たちの先祖たちに敬意を表します。

私はこの重要な会議に、ツバル国民の一番の代表(首相)として出席しています。大きな義務と責任を負っています。私は、ツバルに未来があってほしいというツバル国民の望みも負っています。これは負うにはとても大きな責任です。私は、その責任の重さに夜あまり眠れません。歴史的に見てもこのような大きな問題に直面した国の代表はいないでしょう。我々は生きながらえるのか?それとも海の下に消えてしまうのか?私と同じ立場になったらどんなふうに思うかみなさんに考えてもらいたいです。しばし手を止めて考えてください。もしあなたの国が消失の危機に直面したら、あなたはどうしますか?今しばししていることを止めて、自分ならどうするか自分に聞いてみてください。

気候変動は私の国が直面するたった一つの一番大きな課題です。気候変動は、全てのツバル人の生命、安全、幸福を脅かします。他にもこの責任を共有する人たちがいます。キリバス、マーシャル諸島、モルジブなどの国土の低い環礁でできている国々も、気候変動との戦いの最前線にいます。

これは限りない戦いです。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書による最新の予測によると、地球の平均気温は、現在の気温レベルより2.6℃から4.8℃としています。みなさんイメージできるでしょうか?IPCCによる最低の予測値であっても世界はどんな様子になるかイメージできるでしょうか?この世の地獄となるでしょう。

偉大なイタリア人の詩人、ダンテはこのような詩を書きました。「地獄で一番暗い場所は、倫理の危機にあっても中立を標榜する者たちのために用意されている。」

これらの言葉は、まさしく今日の状態を言い表している。我々はもっとも大きな人類のモラルの危機に直面しています。該議論者や中立主義者の場所はないのです。

警鐘が大きく明らかに鳴っています。もし、私たちは今何もしなかったら、そして、全ての将来の世代に堪え難い未来を強いると信念と決意とともにするとしたら … それはあなたの良心がとがめませんか?

議長、9月に市民社会が世界気候マーチ(Peoples Climate March)に参加した時、私はニューヨークにいました。行進に参加するために世界中や全米から37万人以上が来ました。同じ目的の行進が世界中でも行われました。何千人ものたくさんの人々が気候変動対策を求める様子はとても感動的でした。ツバルと書いたサインをもつ人もいました。それにはとても心を打たれました。行進した全ての人たちを私は本当に誇りに思います。私はあなたたちの声を聞きました。私はあなたたちの要求を聞きました。私もあなたたちの懸念を共有します。他の国首脳たちも聞いていると期待しましょう。

議長、市民社会ははっきり聞こえる声で訴えています。化石燃料産業に動かされている気候変動懐疑論者を無視する時です。短期間の関心や利益に動かされた大企業を無視する時です。気候変動を信じない国の首相を無視する時です。彼らは良心をもっていません。彼らは空っぽで浅はかな生き物です。彼らはお金しか見ていません。私たちは子どもたちの目を見ています。私たちは化石燃料産業ではなく、その子どもたちの目に応えなければなりません。

私は少しの間みなさんに化石燃料という言葉について考えていただきたいです。それはとても簡単です。現在私たちが燃やしている化石燃料は、絶滅した植物や動物からできています。化石燃料は絶滅の象徴です。私たちは、絶滅の背中に乗って、自ら絶滅を強いるようなことになってはいけません。私たちは、再生可能をめざして懸命に努力しなければなりません。私たちは私たちの未来を再生可能エネルギーによるものに劇的に変わらなければなりません。

議長、私には険しい未来の中に希望がかすかに見えます。COP20の前に、私は、アメリカと中国がG20サミットの終局段階でそれぞれの排出削減量を発表したという朗報に元気がでました。なので、この2つの超大国はそれぞれ自分たちの約束をまもらなければなりません。私たちは、あなたたち2カ国に、それぞれが約束を上回る削減努力をし、実質的な削減対策を実施していくというリーダシップを期待しています。

私は、多くの国が緑の気候変動基金に拠出するという誓約をしたという朗報にもまた元気がでました。私は、現在その誓約が全部で約95億ドルになっていると理解しています。これは進展ですが、大海の一滴にすぎません。化石燃料を利用しない、気候変動の影響の恐れがない世界に社会を変えて行くのに必要な額にはとうてい及びません。

私はCOP20で新しい気候変動の議定書採択にむけていくつかの進展がみられているという朗報にもまた元気がでました。ツバルとそして多くの国々もそうだと思いますが、パリで包括的な新しい議定書を採択することが絶対的に不可欠であると信じています。コペンハーゲンで起きたことを繰り返すことはできません。私たちは、重大な世界の危機に対して気乗りのしない対応を受け入れる失望や屈辱に苦しむことはできないのです。

新しい議定書は、全ての問題を意味ある形で網羅する包括的なものでばければなりません。それは全ての国の効果的な削減目標を含まなければなりません。

それは、適応や損失と損害において本当の成果を実現するものでなければなりません。それは、私たちの社会を変えるのに必要な資金を生み出するものでなければなりません。そして、それは、全ての人たちが気候変動に対応できることを確保するための技術と必要な能力構築を実現するものでばければなりません。これら全ての柱が必要です。

議長、私は、いくつかの国が合意に損失と損害に関する作業を含めることに反対していると聞きました。これは意味がありません。悲しい事に、私たちはどれだけ一生懸命に気候変動の影響に適応しようと努力しても、不可避的に影響が出てしまうのです。私たちは、一番高い政治レベルでの政治的な承認を得ている損失と損害に関する恒久的な取り決めが必要です。私たちは、損害と損失に関する実質的なプログラムがなければ、新しい国際条約を指示しないでしょう。このことは他の締約国にも明確に伝わっていると思います。

議長、私たちは、青年、女性、先住民の方々の本質的な対策をとってほしいという強い声を断じて無視することはできません。私たちに残された時間は少ないです。私たちは、緊急に対策をとるべきだという巨大な叫びを無視することはできません。科学者たちは、緊急な対策が必要と言っています。市民社会は、緊急な対策が必要と言っています。信念ある各国の首脳たちも緊急な対策を訴えています。

真の気候変動の地球規模で普遍的な対策のために、ツバルも気候変動交渉に2300万人の人口をもつ中華民国/台湾が意味ある参加をすることを強く指示します。中華民国/台湾は、世界上位10位に入る経済大国であり、主要な温室効果ガス排出国です。彼らは、多くの先進国と平行して、そして、比較してより大幅な温室効果ガス排出削減目標を掲げています。中華民国は、気候変動に対応する世界中のたくさんの人たちに対して、技術発展や技術移転、そして、適応のための能力構築についてもすでに大いに貢献しています。気候変動枠組み条約プロセスにおける中華民国/台湾の活発で意味ある参加は重要で、このようなことは真剣に検討されなければなりません。

議長、私はここにいる全ての人に、この部屋から出た後、最初に会った子どもの目をみてほしいです。私は、全ての人にこどもの目をみて、その目が今後10年もしくは20年先に何を見て行くのか想像してほしいです。彼らは地獄をみるのでしょうか、それとも、彼らは持続可能な地球をみるのでしょうか。

議長、パリで誇りを持って立とうではありませんか。子どもたちの目をみて、そうだよ。君たちの本当の未来があるんだよと。と言おうではありませんか。2015年を、地球を救った年にしようではありませんか。2015年を、ツバルを救った年にしようではありませんか。ツバルを救う事は、世界を救うことになるのですから。

ご清聴ありがとうございました。

TUVALU MO TE ATUA.

(全能の神のためのツバル)

気候変動枠組み条約第20回締約国会議
ツバル首相 エネレ・ソーセネ・ソポアガ
2014年12月 ペルー、リマ

翻訳担当:川坂京子(特定非営利活動法人 ツバル オーバービュー理事)

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