1998年から南太平洋に浮かぶ島国ツバルに軸を置いた活動を行っています。最新ニュースの提供、気候変動防止を主題とした講演会への講師派遣・写真展へのパネル貸し出しを行う他、鹿児島の体験施設「山のツバル」では、スマートな低炭素暮らしの実験に挑戦しています。

What's New


直前のトピックスでツバル人のNZへの移住に関するニュースをまとめましたが、ニュースサイトを調べていたら、昨年新しく決定された移住制度(PAC)による移住者が決まってもいないのに、それを撤廃する動きが出ていることがわかりました。

まずNZヘラルドの2002年11月の記事をご覧下さい。原文へのリンク(28.11.2002)

国民党の移民担当官、ムーレイ・マッカリー氏により、去る11月27日付けで議会に提出した議案に関する記事です。NZ政府は2001年1年間で52,856人の移民に対して永住権を認めているが、この数字は大きすぎるとして削減を求める内容となっています。

また、議案の中には、永住権の種類別の扱いに関しても述べています。現在全体の6割を占めるスキル・ビジネス・カテゴリーの受入数を7割まで増やし、ファミリー・カテゴリーをカットして行くとなっています。(international/humanitarian groupは政治亡命や人道的配慮が必要なケース)

種類 現在 将来
skilled/business category 60% → 10%アップして70%へ
family-sponsored applicants 30% → 減少

international/humanitarian group 10% → 250人削減して1000人の枠内に押さえる
NZ政府の、ちゃんと英語が話せて働ける人を受け入れ対象にしていきたいという気持ちが感じられますが、議案にはダメ押しでもっと細かい事も書かれています。

・PACの全廃(現在トンガ250人/ツバル75人/キリバス50人の枠がある)
・サモアからの移民枠1100の見直し

この議案は審議中だと思いますが、PACによるツバルからの移民がなかなか始まらない影には、このような国内の事情があると考えられます。もちろんこの様な議案が出る背景には、労働党と国民党という2大政党の政治的かけひきもあるはずです。このままだと、ツバルからの移民が始まらないうちに制度廃止に追い込まれる可能性もあります。

同じくNZヘラルドから2003年2月19日の記事をご覧下さい。原文へのリンク(19.02.2003)

記事のタイトルは【海面上昇の恐怖がツバル人をNZへの移住に駆り立てている】となっています。2001年のNZ統計局の調べによると太平洋エリアからの移民数で、ツバルは第7位になった事が発表されたのを解説する記事ですが、1996年から比較するとその数は倍増していて、その多くは西オークランドに住んでいるようです。

記事の中で、スワマリエ・ロセファ氏(ツバル・ソサエティー代表・牧師)のインタビューも紹介されています。彼は温暖化の影響も認めながら、よりよい教育と社会保障・就職を求めている事も語っています。また、NZ在住の太平洋エリア民族の人数を以下のようにまとめています。(この数字には、NZで生まれた2世も含まれています。)
1.サモア人(11万5,000人)
2.クック諸島マオリ人(5万2,600人)
3.トンガ人(4万700人)
4.ニウエ人(2万100人)
5.フィジー人(7,000人)
6.トケラウ人(6,200人)
7.ツバル人(2,000人)

数字には違法移民の数はカウントされていないかもしれないので、実際はもっと多いのかもしれません。ツバルとして困るのは、このような動きを受けて移民が認められなくなってしまう事だと思います、受け入れてくれる他の国も見あたらないし、島はどんどん浸食されてしまうし、何か良い方法が有ると良いのですが・・・珊瑚礁で構成されるツバルのような環礁は、土木工事で海面上昇への対抗策をとるのは大変難しくお金もかかると言われています。
この記事を書くにあたって【NZ DAISKUKI.COM】様の記事も参考にさせていただきました。このサイトはNZでの情報が満載で、旅行や生活etc とても役に立つサイトです。興味のある方は一度覗いてみてください。

文責:遠藤 秀一 tuvalu@site.ne.jp