特定非営利活動法人ツバルオーバービュー

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COP15の様子 その1
コペンハーゲン、ベラセンター内、メイン会議場

ポーランドでのカンファレンスを終えて、すぐにコペンハーゲンに移動し、COP15に出席しました。2006年のバリ島でのCOP13に引き続き2回目の出席となりますが、今回はツバル政府代表団の一員としての参加です。なんで日本人がツバル政府団の中にいるんだろう?って不思議な目で見られたり、ツバルって東洋人みたいな顔なんだと思われたり、色々ありました。1万人の国民しかいないツバル政府は常に人手不足で、今回のデレゲーションチームも、オーストラリアから1名、ポーランドから1名、フランスから2名、日本から2名と海外選手が目立つ構成で会議に臨みました。

COP15の様子 その2
ツバルオーバービューのブースの様子

この会議の直前にポーランドで行われたカンファレンスと写真展の為に制作した写真を中心に展示を行い、ツバルの現状を来場者に訴えるプレゼンテーションを目指しました。また、卓上にはコンピューターも用意して、ツバル紹介ムービーや「ツバルに生きる一万人の人類」グーグルアース版のデモンストレーションも行いました。昼間はメディア関係者が次から次に訪れ、夜は終わらない会議の間に情報収集に来る他国の代表団が来たり、会議が終了した後は会場を出る前にじっくり写真に見入る人がいたりと、様々な人が立ち寄ってくださいました。
度重なる取材にも積極的に応対し、ツバルの現状を説明し、地球温暖化防止の必要性を訴えました。100以上のメディアの取材を受けました。全部は把握できていないのですが、下記リンクには取材結果が掲載されています。

・treehugger “Tuvalu Calls Out US in Emotional Plea
・LE DEELOPPEMENT DURABLE.TV “COP15, entre lobbyistes et militants
ムービーご覧ください。2分経過あたりです。これは日本語可能だったので楽でした。

COP15の様子 その3

今回の会議では、2012年に効力を失ってしまう京都議定書の次のルールを決めることが最大の目的でした、次のルールには京都議定書に参加していない国々の参加も切望されていたので、会議の序盤では、京都議定書参加国への新しいルールと、非参加国への新しいルールを別々に作って、より多くの国が参加できる2つの枠組みを作ることが目標になっていました。
ツバル政府交渉団は、この二重構造に疑問を投げかけ、京都議定書とはまったく別に新しい議定書作成を検討する分科会を作るべきだと提案しました。これは「Tuvalu Protocol」と呼ばれました。今までは、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出削減という大きな目標に対して、先進国VS発展途上国という単純な図式しか無かったのですが、ツバルの提案は、途上国間にも大きな対立があることを浮き彫りにしました。地球温暖化を止めて人類の未来を守る為には、中国やサウジアラビア、インドなどのすでに発展途上国とは言えない工業国も、排出削減の義務を負うべきであると提案したのです。これに対して、京都議定書では排出義務を課せられていない発展途上国、特に、中国、インド、ブラジル、南アフリカ(後にBASICというグループ名となる)が猛烈に反発し会議が一時中断する場面もありました。

BASICはその後の記者会見で、「排出削減を求める先進国の姿勢には強く抵抗する、また、COP15が失敗に終わったとしても、それはBASICの責任ではない」という声明を発表しました。

COP15の様子 その4
会議が中断した時のNGOのツバル提案を支持するデモンストレーション

深夜まで議論が続く白熱した会議が続きましたが、遅々として進まず、進行の遅さに業を煮やしたツバル交渉団のイアン・フライ氏が首脳会合目前に感動的なスピーチを行いました。5分ほどのスピーチでしたが、最後に涙と共に「議長、私たちツバルの運命はこの会議場にいる皆さんの手にゆだねられています。」と締めくくりました。

http://www.youtube.com/watch?v=oUyZOgcHn-Q&feature=player_embedded

The entire population of Tuvalu lives below two meters above sea level. The highest point above sea level in the entire nation of Tuvalu is only four meters.
Madam President, we are not naive to the circumstances and the political considerations that are before us. It appears that we are waiting for some senators in the U.S. Congress to conclude before we can consider this issue properly. It is an irony of the modern world that the fate of the world is being determined by some senators in the U.S. Congress.

We note that President Obama recently went to Norway to pick up a Nobel Prize — rightly or wrongly. But we can suggest that for him to honor this Nobel Prize, he should address the greatest threat to humanity that we have before us, climate change, and the greatest threat to security, climate change. So I make a strong plea that we give proper consideration to a conclusion at this meeting that leads to two legally binding agreements.

Madam President, this is not just an issue of Tuvalu. Pacific island countries — Kiribas, Marshall Islands, Maldives, Haiti, the Bahamas, Grenada — Sao Tome in West Africa and all the LDCs: Bhutan, Laos, Mali, Uganda, Senegal, Timor-Leste — and millions of other people around this world are affected enormously by climate change.

This is not just Tuvalu.

Over the last few days I’ve received calls from all over the world, offering faith and hope that we can come to a meaningful conclusion on this issue.
Madame President, this is not a ego trip for me. I have refused to undertake media interviews, because I don’t think this is just an issue of an ego trip for me. I am just merely a humble and insignificant employee of the environment department of the government of Tuvalu. And as a humble servant of the government of Tuvalu, I have to make a strong plea to you that we consider this matter properly. I don’t want to cause embarrassment to you or the government. But I want to have this issue considered properly.

I clearly want to have the leaders put before them an option for considering a legally binding agreement for them to sign on at this meeting. I make this as a strong and impassioned plea. We’ve had our proposal on the table for six months. Six months. It’s not the last two days of this meeting.

I woke this morning, and I was crying, and that’s not easy for a grown man to admit. The fate of my country rests in your hands.

このスピーチには会場から大きな拍手が寄せられ、会議の流れを変えるかに見えましたが、国益を守る、という各国の姿勢を切り崩すにはいたりませんでした。

首脳会合を目前にして、ヘテゴー議長(デンマーク気候変動・エネルギー相)が辞任、デンマークのラムスセン首相が議長になり、同時に、議長国協定案(コペンハーゲン合意)を提案したのです。これには今まで議論を積み重ねてきた人々から反対の意見が続出しました。しかし、デンマークとしても自国で開催されたCOP15で何も決まらなかった、という最悪の事態を避けたかったのでしょう。

この主要国を交えて作られたとされるコペンハーゲン合意も採択にはいたらず、結局何も決まらないに近い状態で会議は終了してしまいました。強いて言えば気温上昇を2度未満に抑えるといった希薄な内容の「コペンハーゲン協定」という政治合意に、アメリカ合衆国と中国が名前を連ねることができたので、この2国を巻き込んでCOP16で新しい議定書を策定する。という目標にほんのちょっとですが、わずかな光が見えたという点に会議の成果があるかもしれません。しかし、今年一年で排出される膨大な二酸化炭素が、私たちの未来へ及ぼす影響を考えると、やはり今回の会議で2013年以降のルール作りができなかったことは大変悔やまれる結果だと思います。

COP15の様子 その5
ツバル政府代表団、総勢18名の参加でした。

Tuvalu Overviewでは、今年12月にメキシコで開催されるCOP16への参加も視野に入れて、今年も一年精力的に活動していきます。今回のCOP15参加には賛助会員の皆さんの会費、及び、温かい募金などのご支援も活用させて頂いております。みなさんのご支援なしには為し得なかった貴重な事業でした。本当にありがとうございました。今後とも温かいご支援をお願いいたします。

こちらも是非ご一読ください。「コープみんなでエコブログ COP15を終えて

NPO Tuvalu Overview 代表理事 遠藤 秀一
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COP15の様子 その6
取材中、英語での説明も随分手慣れてきました。

COP15の様子 その7
こんな人も取材に来ていました。この局は好きではないです、この人は嫌いじゃないです(笑)

COP15の様子 その8
ツバルに生きる一万人の人類のグーグルアース版に熱中するアメリカの環境活動家

COP15の様子 その9
本会議場にて緊張した面持ちのイアン・フライ氏

COP15の様子 その10
イアン氏とは対照的にリラックスした表情で会議に臨む、遠藤(左)とスメオ氏(右)

COP15の様子 その11
首相到着

COP15の様子 その12
記者会見に臨む、アピサイ・イエレミア首相(左)ベルギーツバル大使、パナパシ・ネレソネ(右)
会見の様子はYoutubeでご覧いただけます。
http://www.youtube.com/watch?v=3-3Cl0M0gO4
http://www.youtube.com/watch?v=H467fudey78

COP15の様子 その13
記者会見の最後に、「アメリカが100ビリオンの支援金を拠出することを決めたがどう思うか?」という質問に、険しい表情を浮かべて返答するアピサイ・イエレミア首相「お金と私たちツバルの存在は交換できない。島が消えると言うことに対してお金に何ができると言うんですか!?」この言葉がツバル政府の姿勢を端的に表現しています。

COP15の様子 その14
無数の風車が会議を静かに見守っていました。

COP15の様子 その15
さすが自転車王国。自転車専用道路の整備が進み、ユニークな自転車が沢山走っています

COP15の様子 その16
「自然は交渉に応じない」 中国よりもアメリカよりも手強いのが自然なのです。自然を目の前にして、国益優先の交渉を繰り広げる愚かな会議のことを、この子どもは大人になってからどう思うのでしょうか? 一番の被害者はこの世代の子どもたちだと思うと胸が痛みます。